Q5.BCPの被害想定と目標復旧時間の設定について

05.25

A5.
名古屋では震度6弱から震度6強が予想されています。この地震が発生したらと質問すると「うちは海が近く津波がきたら終わりだよ」「うちは建物設備が古いから大地震がきたら倒壊して終わりだよ」と返ってくることが多いです。これは東日本大震災での最悪の状況をイメージしてしまいあきらめてしまうパターンです。BCPの目標復旧時間を設定する上で大切なことは被害の段階(フェイズ)毎の被害想定です。震度6弱や6強の時と考えるのではなく、被害の段階(フェイズ)に分けて考えるとよいでしょう。
例)
フェイズ1 3日~1週間インフラが停止している状態
フェイズ2 設備、原料調達等に損害が発生し復旧に1週間程度かかる状態
フェイズ3 設備、原料調達等に損害が発生し復旧に2週間以上かかる状態
フェイズ4 設備、原料調達等に損害が発生し復旧に1カ月以上かかる状態
被害想定がないとBCPの目標復旧時間も設定することができません。
また、同じ設備等に損害が発生していてもフェイズ2と4では対策対応が全く違います。

次に目標時間の設定です。
お客様からよく耳にすることがあります。それは「取引先である自動車メーカーさんから震度6弱以上の地震が発生した時に2週間以内に商品の供給を再開できるBCPの策定を提出しなさい」というものです。なぜこのようなことを求めるのでしょうか?
日本の基幹産業である自動車製造ラインが長期間ストップすると日本経済に及ぼす影響を考えれば早いに越したことはないでしょう。しかし部品が一つでも調達ができない状況が発生すると製造ラインはストップしてしまいます。実際に2007年7月16日に発生した中越沖地震を例に考えてみましょう。中越沖地震では自動車部品メーカーリケンが被災し工場が停止しました。リケンの製造するピストンリングは、国内の全自動車メーカーに50%のシェアを有していました。この工場は自動車メーカーの強力な支援で1週間で中核事業を再開することができました。その影響で日本の全自動車工場は3日間操業を停止する事態に陥ったのです。

ここで考えなければならないのが災害発生時に自社は社会(お客様取引先)から何を求められるかです。リケンのように自動車業界のサプライチェーンを構成する企業であるならば1社でも1つの部品が供給できないだけで操業停止を余儀なくされます。つまりサプライチェーンの一員であるならば復旧がバラバラでは困るのです。BCPの目標復旧時間は共有する必要があります。
建築・土木業はではどうでしょうか。道路や建物に損害が発生し社会(お客様取引先)は何を基もているでしょうか。医療関係や福祉関係の例としてグループホームをで考えてみましょう。停電していようがライフラインが停止していようが命を預かっているので事業停止することができません。このようにBCPの目標復旧時間の設定は自社が社会に対する責任から考える事が大切です。

また、BCPの目標復旧時間を設定しないとどうなるのでしょうか?
被害想定でフェイズ4 設備に損害が発生し復旧に1カ月以上かかる状態になった時を例に考えてみましょう。
①地道に片付けをして修理の手配をかけて2か月かかって生産再開、商品の供給再開。
②目標復旧時間を2週間と設定しており代替え手段でお客様への商品サービスの提供を2週間で再開し、片付け修理が3か月かかっり生産再開。
①と②では取引先はどうなるでしょうか?

まとめ
被害想定は被害の段階(フェイズ)に分けて考える。目標復旧時間は社会(お客様取引先)から何を求められるかから考える事が大切です。(BCPオフィス名古屋:谷内量)

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